家庭菜園にも
出荷栽培にも
ズッキーニの育て方と品種選び
栽培しやすさや果実品質にこだわったゼルダシリーズを中心に、家庭菜園向けの育て方から、 生産者向けの品種選定・収穫作業性・販売提案まで紹介します。
ズッキーニとは
見た目はきゅうりに似ていますが、分類上はウリ科カボチャ属に属する、かぼちゃの仲間の野菜です。
ズッキーニは、一般的なかぼちゃのように完熟させて食べるのではなく、若い果実を収穫して食べる野菜です。発芽適温は25〜30℃、生育適温は18〜25℃とされ、開花後4〜7日ほどで長さ20cm程度を目安に収穫します。
雌花と雄花が同じ株につく雌雄同株異花の作物で、安定した着果には受粉が重要です。出荷栽培では、人工授粉や適切な草勢管理により、果実品質と収量を安定させます。
ズッキーニの栽培方法
家庭菜園の方にも生産者の方にも伝わるよう、作業をステップ形式で整理します。
土づくり
ズッキーニを安定して育てるには、まず土づくりが重要です。 ズッキーニは根域が比較的狭いため、根が張る範囲にしっかり肥料を効かせる必要があります。
畑で栽培する場合は、定植前に完熟堆肥を入れ、土をよく耕しておきます。 水はけが悪い場所では根傷みが起こりやすいため、高畝にするなどして排水性を確保します。
出荷栽培では、定植の約1か月前に完熟堆肥を施用し、元肥を入れて圃場を整えます。 施肥量の一例として、10aあたり完熟堆肥2t、元肥はN:P:K=10kg:15kg:10kg程度が目安になります。 実際の施肥量は、土壌条件や品種の草勢に応じて調整します。
家庭菜園向けポイント
家庭菜園では、市販の野菜用培養土(ガッチリくん 果菜用N−560)、 (ガッチリくん タネまき用N−190)を使うと管理しやすくなります。 畑に植える場合は、定植前に完熟堆肥や有機肥料(グルメの力)を混ぜ、土をよく耕して水はけを整えます。
出荷栽培向けポイント
施肥量は、品種の草勢や土壌分析の結果に合わせて調整します。 草勢が強い品種では窒素過多にならないよう注意し、草勢が弱い品種では初期生育を確保できるよう元肥を調整します。 マルチは、低温期には地温を確保しやすい黒マルチやグリーンマルチ、 高温期には地温上昇を抑えやすい白黒マルチや白系マルチを選ぶと管理しやすくなります。
播種
ズッキーニの発芽適温は25〜30℃です。 種まきは、地温が十分に確保できる時期に行います。 地温が低い状態で播種すると、発芽がそろわなかったり、発芽までに時間がかかったりします。
種は深さ10mm程度にまき、しっかり覆土します。 ズッキーニは発芽時に光を嫌う性質があるため、種が土から露出しないようにすることが大切です。 種は平らに並べ、同じ向きに置くと発芽後の管理がしやすくなります。
家庭菜園向けポイント
初心者は、種から育てるよりも苗を購入して植え付ける方法が失敗しにくいです。 種から育てる場合は、9〜12cm程度のポットにまき、暖かい場所で管理します。 霜の心配がなくなる4月下旬以降に始めると安心です。
出荷栽培向けポイント
播種の数日前に十分潅水し、透明ポリなどで覆って土壌水分と地温を確保します。 地温の確保が難しい時期は温床育苗を行います。 直播栽培では、欠株に備えて補植用の苗をあらかじめ準備しておくと安心です。
育苗
発芽後は、温度と水分を管理しながら苗を育てます。 育苗中の温度は、日中23〜24℃程度、夜間16〜18℃程度が目安です。
低温期作付けでは生育がゆっくりとなるため、6~9cmポットで約20~30日程度育苗します。定植時の目安は、本葉2.5~3.5枚程度です。 育苗後半は苗同士の間隔を広げ、風通しをよくして、徒長していないがっちりとした苗に仕上げます。
抑制作等の高温期作付けでは生育が早いため、50~72穴セルトレイで約10日程度育苗します。定植時の目安は、本葉0.5~1枚程度です。
家庭菜園向けポイント
苗を選ぶ場合は、茎が太く、葉の色が濃く、ひょろひょろしていないものを選びます。 葉が大きすぎる苗や、茎が細く伸びすぎている苗は、植え付け後に弱りやすい場合があります。
出荷栽培向けポイント
低温期は苗づくりに時間がかかるため、育苗期間を逆算して播種します。 また、雄花確保のために播種時期を分散させると、授粉作業が安定しやすくなります。
定植
苗が十分に育ち、地温が安定したら定植します。 ズッキーニは葉が大きく広がるため、株間を広く取ることが重要です。
条間180cm、株間80cm、10aあたり約700本程度が目安になります。
家庭菜園向けポイント
定植前に苗へ十分に水を与え、定植後も株元に潅水して根をしっかり張らせます。 鉢植えで育てる場合は、直径30cmほどの尺鉢がおすすめです。植え付け時に、苗の10cmほど横へ直径21mm程度の支柱を深く立てておきましょう。生育に合わせて、10日に1回程度、ビニール紐などでやさしく誘引すると安心です。 草丈が50cm程度までであれば、支柱1本でも安定しやすくなります。
出荷栽培向けポイント
ハウス栽培ではマルチ内に潅水チューブを設置しておくと、水分管理が安定します。 マルチは、低温期には地温確保、高温期には地温上昇抑制やアブラムシ対策を意識して選びます。
初期管理・摘果
定植後は、まず株をしっかり育てることを優先します。 ズッキーニは早い段階で雌花がつきますが、株が十分に育つ前に果実をつけると、株に負担がかかります。
そのため、最初の雌花1〜2花程度は摘果し、株の勢いをつくります。
形の悪い果実や、肥大しない未受精果も早めに取り除きます。 放置すると株に負担がかかり、腐敗や収量低下につながることがあります。
家庭菜園向けポイント
最初の実を残したくなりますが、株が小さいうちは摘み取った方が後の収穫が安定します。 まずは葉と根をしっかり育てることを意識しましょう。
出荷栽培向けポイント
初期摘果は、後半の草勢維持や果形の安定に関わります。 未受精果や先細り果は、花落ち部から腐敗しやすいため、早めに除去します
人工授粉
ズッキーニは、同じ株に雄花と雌花が別々に咲く雌雄同株異花の作物です。 雌花の下には小さなズッキーニのようなふくらみがあり、雄花にはそのふくらみがありません。
結実には受粉が必要です。 蜂などの訪花昆虫が少ない場合や、確実に着果させたい場合は人工授粉を行います。 授粉は、開花日の早朝から午前9時頃までが目安です。
人工授粉では、雄花を取り、花びらを外して雄しべを出し、雌花の中心に花粉をつけます。 花粉量が十分であれば、雄花1花で雌花4〜5花程度に交配できます。
家庭菜園向けポイント
朝に花を確認する習慣をつけるとよいです。 実が小さいまま黄色くなったり、先細りになったりする場合は、受粉不足の可能性があります。 虫が少ない場所では、人工授粉を行うと実がつきやすくなります。
出荷栽培向けポイント
低温期や収穫ピーク時は雄花が不足する場合があります。 播種・定植を7〜10日間隔で分散する、雄花が安定して開花しやすい品種を花粉用に混植するなどの対策が有効です。
追肥・草勢管理
収穫が始まると、ズッキーニは次々に果実をつけるため、肥料切れに注意が必要です。 追肥は収穫開始頃から行い、株の様子を見ながら調整します。
順調な株では、雌花が咲いている節から生長点までの間に、十分に展開した葉が3枚程度あることが草勢の目安になります。 草勢が落ちると、葉色が淡くなる、蕾が曲がる、果形が乱れる、実の肥大が悪くなるといったサインが出ます。
家庭菜園向けポイント
家庭菜園でも、収穫開始頃から株の様子を見て追肥します。 追肥は収穫開始時、その2週間後、4週間後を目安に行い、草勢に応じて追加します。 化成肥料を使う場合は、水分がないと肥料が効きにくいため、雨の前や潅水とあわせて施すと管理しやすくなります
出荷栽培向けポイント
農家栽培では、葉色、蕾の曲がり、果形の乱れ、生長点付近の勢いを確認しながら追肥量を調整します。 収穫開始後は肥料切れが収量低下や果形不良につながるため、草勢が落ちる前に早めに対応します。 目安として、窒素成分で2g/㎡程度、または10aあたり2kg程度を7〜10日間隔で追肥します。
摘葉・下葉欠き
ズッキーニは節間が短く、葉が大きいため、株元が蒸れやすい作物です。 収穫が始まったら、古い下葉を取り除き、風通しをよくします。
摘葉では、収穫前の果実がついている節の2〜3節下までは葉を残し、それより下の古い葉を取り除きます。 葉柄は株の支えにもなるため、根元からすべて切るのではなく、葉先を切り取って葉柄を残す管理が有効です。
家庭菜園向けポイント
黄色くなった葉や地面に触れている葉から少しずつ取り除きます。 一度に多く切りすぎると株が弱るため、風通しをよくする程度に調整します。
出荷栽培向けポイント
下葉欠きは、病害虫防除、薬剤散布効率、収穫作業性の向上につながります。 切り口が上を向くと水がたまりやすいため、切り口が下向きになるように切るとよいです。
収穫
ズッキーニは、開花後4〜7日程度で収穫できます。 果実の長さが20cm前後になった頃が収穫の目安です。
高温期は果実の肥大が早いため、朝と夕方の2回収穫が必要になる場合があります。 取り残した果実は大きくなりすぎて株に負担をかけ、その後の果形の乱れや着果不良につながります。
家庭菜園向けポイント
収穫期は毎日確認します。 「もう少し大きくしてから」と思って放置すると、株が疲れやすくなります。 20cm前後の若い果実をこまめに収穫すると、次の実もつきやすくなります。
出荷栽培向けポイント
出荷向けでは、規格サイズをそろえることが品質安定につながります。 収穫ピーク時は肥大が早いため、取り残しを防ぐ収穫体制が重要です。 未受精果や先細り果は早めに摘果し、軟腐症状や収量低下を防ぎます。
病害虫対策
ズッキーニでは、アブラムシ、アザミウマ、うどんこ病に注意が必要です。 アブラムシはウイルスを媒介することがあり、アザミウマは花に入ると防除が難しくなります。 うどんこ病は乾燥時や収穫後半に広がりやすいため、発生前の予防と初期防除が重要です。
家庭菜園向けポイント
毎日の水やりや収穫のついでに、葉の裏や花の周辺を確認します。 害虫を早く見つければ、防虫ネットや薬剤で被害を小さく抑えやすくなります。 風通しをよくすることも、うどんこ病の予防につながります。
出荷栽培向けポイント
農家栽培では、圃場全体に広がる前の初期防除が重要です。 アブラムシ対策、下葉欠き、マルチ選定、薬剤散布を組み合わせ、ウイルス病やうどんこ病の発生を抑えます。
トキタ種苗のゼルダシリーズ紹介
ゼルダシリーズは、育てやすさ、収量性、果実品質にこだわったズッキーニ品種シリーズです。 定番の濃緑果から、売り場で目を引く黄色果・ライム色果まで、栽培目的や販売方法に合わせて選べます。